天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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――織田前理事長として財団が将来、こんな研究分野まで助成対象にすべきだというようなアドバイスはありますか。織田―それは最終的には財団の理事や評議員の方々で議論すべきですが、前述したように世界は変化をしている。その変化に企業も、大学も、そして財団も対応を迫られています。大きなトレンドという観点でみると、世界の人口問題があります。2050年に世界の人口は90億人を突破し、地球は人口飽和状態になるといわれています。しかも内訳を見ると、日本、中国を含むアジアが40億人、アフリカが30億人、ロシアを含む欧州、南北アメリカ大陸がそれぞれ10億人といわれています。アジア、アフリカで世界人口の3/4を占めることになります。そのときのエネルギー問題、食糧問題、環境問題はどうなるのか、財団が30周年を節目にこれから50周年、100周年を迎えるためには、こうしたことも真剣に考え、その中で助成対象として塑性加工、レーザ加工がど3Rに対応する研究テーマを見つける携することにどんなことを期待するのか、明確な戦略や戦術が見えていないところに課題があると思います。 何の目的で、大学には何をどこまで手伝っていただくのか。そしてどこまでのアウトプットを期待するのか、明確な工程表ができていません。なんとなくというニュアンスが強いと思います。産も学も自分たちのミッション、そしてどこへ向かって何をアウトプットするのか、成果としては何を期待しているのか――など明確なシナリオ、工程表に落とし、目的を共有して役割を分担すべきだと思います。一般的に産学連携が難しい中で財団として何ができるのか、産学の架け橋を目指したいという気持ちは理解できますが大変な事業だと思います。 ステップ・バイ・ステップでやっていただくことと、そうした中で、新しい研究分野、テーマの掘り起こしもやっていただきたいと思います。2015年に行われた第13回天田財団助成研究成果発表会の懇親会会場であいさつをされる織田理事長(当時)うなっていくのか、またモノづくりでは材料、工法置換が起こり、材料、技術の複合化がどんどん起きてくると思います。そしておそらく3R、Reduce(リデュース:減らす)、Reuse(リユース:繰り返し使う)、Recycle(リサイクル:再資源化)がキーワードになると思います。そうしたことを視野に入れた研究助成を考えていただきたい。繰り返しになりますが財団は「わが国の産業および経済の健全な発展に寄与する」という目的にかなう活動を続けていっていただきたいと思います。第13回天田財団助成研究成果発表会の懇親会会場で助成研究者に表彰状を手渡される織田理事長(当時)49

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