天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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天田財団30周年記念インタビュー 33.歴代理事長に聞く定款3条の目的に沿う研究分野、テーマの掘り起こしを進める――織田前理事長は理事長としての在任期間は2013年6月から2015年6月までの2年間と短いですが、2005年から理事に就任されており、退任されるまで11年間に渡って財団の事業に深くかかわってこられました。30周年という節目を迎え、どんなお気持ちですか。織田直樹前理事長(以下、敬称略)―私の父が1987年5月28日の財団設立当時から3年間、初代の専務理事を務め、財団設立準備の段階から発足、立ち上げに奔走していましたので、経過は良く理解していました。 1987年に財団法人天田金属機械加工技術振興財団として設立され、2011年4月1日付けで公益財団法人天田財団と名称を変更するまでは、主に塑性加工技術を研究される先生方に、1件当たり200万円を上限に研究助成する事業を行ってきました。財団設立の目的、根幹は公益財団法人になっても変わらず、定款第3条にある、「この法人は、金属等の塑性を利用した加工及び高密度エネルギー下での諸特性を利用した加工に関する研究に係る助成を通じて、金属等の加工に関する学術の振興と新しい科学技術の創出を図り、もってわが国の産業および経済の健全な発展に寄与することを目的とする」事業活動を粛々と行うことで、30周年を迎えることができました。これからも財団の目的はこの3条にある目的の遂行だと思います。 私は大学および大学院で塑性加工関連の研究をして、株式会社アマダへ入社後5年程はプレス加工の研究に携わりました。その仕事を通して大学時代に学んだ材料、塑性力学の基礎をあらためて学びました。1980年前後から国内外でレーザマシンの開発が進むようになりました。アマダは、天田勇名誉会長のご指示でレーザ技術を研究、レーザマシンを開発することになり、私も開発メンバーの1人としてアメリカでレーザ技術の研究に携わるようになりました。 当時のアメリカは、1981年に就任したロナルド・レーガン大統領が戦略防衛構想(SDI)を発表、別名「スターウォーズ」計画でミサイル衛星やレーザ衛星、早期警戒機を導入、レーザ技術を活用した戦略防衛システムの研究を進めており、レーザ技術の研究には膨大な国家予算が投入されていました。その波及効果で産業用にもレーザ技術が応用されるようになっていました。そんな状況の中で私もレーザ技術の研究にかかわってきました。 そんな経緯があったので、私自身は財団も塑性加工のみならずレーザ加工技術の研究を助成すべきだと考えていました。そして私が理事を務めていた2007年、財団設立20周年を機会に、レーザプロセッシング分野への助成をスタートさせました。世の中わが国の産業および経済の健全な発展に寄与する活動を織田直樹(在任期間:2013年6月~2015年6月)公益財団法人 天田財団 4代目理事長2013年6月から2015年6月までの2年間、理事長を務める。(株)アマダ在任中は研究所、開発部門で開発業務に携わる。1994年の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)へ出品した、材料を投入すると製品が加工されて出てくる夢の板金加工プロセス改革マシン「Espacio」の開発を担当した。47

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