天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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諸特性を利用した加工に関する研究に係る助成を通じて、金属等の加工に関する学術の振興と新しい科学技術の創出を図り、もってわが国の産業および経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と塑性加工に加えてレーザ加工もはっきりその助成範囲であることを謳いました。財団はこの第3条の目的、第4条の事業に沿って「公募型」で粛々と運営していくのが現在の使命であります。――30周年から50周年、100周年へ向けての財団の活動に関してご意見はありますか。上田―定款の「3条目的、4条事業」に沿って活動を継続していくことが何より大切です。そして産業及び経済の健全な発展に寄与していくために、産業界と学会との具体的な架け橋になっていけるような行動をしていただきたいと思います。助成成果を産業界につなげるような存在になってもらえれば理想的です。ただし、「言うはやすく、行うは難し」で漠然と先生方と産業界の人が集まって、懇親を深めるだけでは、多くは期待できないのは過去の例から見ても明らかです。産業界と学会の交流もターゲットを設定、求めるもの、求められるものを具体的に設定し、目的と責任を明確にしていかなければ、何の成果も出ないと思います。今、これだけ世界が大きく変わっていく時代です。これからは、ただ、橋渡し役だけでは済まない何かがこれからの天田財団に求められていくのではないでしょうか。限られたスタッフで対応するのは大変だとは思いますが、数ではありません。何かをつかもうとする熱意を天田財団に期待したいと思います。 本年度も塑性加工、レーザプロセッシングとも多くの助成申請があったと聞いています。この状況が続く限り、財団の活性化と日本の加工技術の進歩は続くと信じております。何かをつかもうとする熱意に期待する――上田元理事長は日本塑性加工学会の2008年度(第44期)の副会長に就任されました。そして2010年度の学会の年次総会(第45回)で功労賞を受賞されました。財団理事長としてご活躍いただき、財団の認知度向上に大変ご尽力をいただきました。このときはどんなお気持ちで活動されていたのですか。上田―理事長として活動するようになって最初に感じたことは、日本塑性加工学会や精密工学会を引っ張っている先生方が理事や評議員、選考委員としても非常な熱意をもってわが財団の活動を支えていただいているなということ。その結果、財団の認知度が特に塑性加工分野では広く行き渡り、学会の発表会に伺っても、参加された先生方が、口々に財団の助成活動を高く評価していただき、また財団を支えるアマダに対する好感度も高い、ということでした。 こうしたことはアマダにいたときはあまり感じる機会がなかったので、大変うれしく思いました。まさしく、これまで財団活動に携わっていただいた歴代の先生方のお力が、今日の天田財団を築いてきた、と感ずることができました。財団関係者は歴代の先生方のご恩を決して忘れてはならないと思います。 また、数度にわたり日本塑性加工学会から天田財団が感謝状を授与されたり、私が学会の副会長に推薦されたり、功労賞をいただくようになりました。さらにそれだけではなく毎年、日本塑性加工学会に併設されている天田財団主催の助成研究成果発表会では、多くの学会関係者が発表されたり、聴講に来日本塑性加工学会との出会いられるようになりました。また、発表会後の懇親会にも多くの先生方のご来場を賜り、参加者が懇親を深めておられ、学会の定番行事になっていることも、天田財団と学会との歴史あるつながりの表れといえるのではないかと思っています。塑性加工分野の先生方に限らず、精密工学会やレーザ関係の学会の先生方も含めて、このような財団と学会との関係が続くことが、これからはますます期待されていくと思います。46概 説

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