天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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祝 辞この度、天田財団殿が創立30周年を迎えられましたこと、誠におめでとうございます。天田財団殿の長年にわたる塑性加工分野への貢献には多大なものがあり、頭の下がる思いでおります。特に、研究開発助成、国際交流促進助成を通じた研究開発に対する支援の貢献は極めて大きく、多くの立派な成果を生み出しています。貴財団と日本塑性加工学会とは、助成事業以外にも、塑性加工春季講演会での成果発表会の併設、毎年実施されております技術サロンの開催など、緊密な関係を保っております。このような長年のご支援に対しまして、心より深く感謝申し上げます。さらに、当学会に対しまして、主に板金加工の分野において多大な貢献のあった技術を表彰する天田賞を設けていただき、贈賞をされておりました。この賞は平成13年より平成22年まで続きましたが、平成23年、日本塑性加工学会が50周年を迎えるにあたり学会賞の見直しが行われ、残念ながら「天田賞」の名称はなくなりました。しかしながら、その意思は日本塑性加工学会の「技術開発賞」に引き継がれております。貴財団の新しい発想の技術開発を支援するという意思は、贈賞という形はなくなりましたが、脈々と当学会に受け継がれております。この点からも貴財団のご支援に対しましてあらためてお礼を申し上げます。現在、貴財団が実施されております研究開発助成事業は、今まで以上により効果的に新しい技術を育てるという面で貢献していると思います。研究開発助成事業は、塑性加工技術の深化にとって重要な意味を持っています。人材育成には、「技術の継承」と「新しい発想ができる人材を育てる」という2つの面があります。特に、「新しい発想ができる人材を育てる」ことは単に教育をすれば良いというものではありません。先人の知恵と発想を乗り越えるアイデアを生み出す必要があります。これには、若手の研究者に自由に研究開発が行える機会を与えることが重要です。そういった意味で研究開発助成事業には、若手に活躍の場を与えるという大きな意味があると考えています。このように貴財団の研究開発助成事業は、人材育成の面においても多大な貢献があると考えています。特に、重点研究開発事業は、単に研究開発を金銭面で助成するというものではなく、今後の塑性加工の向かうべき指針を示しておられ、塑性加工技術の深化を先導するという役割を果たしていると思っております。このような助成事業を通じて、ともすれば成熟した技術であると思われがちな塑性加工技術においてもブレークスルー技術が生まれる余地があると思っております。さらに、国際交流促進助成事業は国際的な人材を育成するという面で大きく貢献していると考えています。国際的な人間になるには、世界を知り、己を知ることが重要です。彼我の実力差を知り、まずは自分の技術がどの当たりにあるのかを把握することが若い人たちにとって重要だと思います。この点に国際交流助成事業への大きな役割があると思っております。今後、いくら情報・通信技術が発達しても"モノづくり"の本質は変わりません。AIが発達しても、AIの問題解決能力が向上こそすれ、課題を設定する能力は持てないと思います。自ら課題を設定し、それを解決して山崎一正社団法人 日本塑性加工学会 会長創立30周年を迎え今後も技術発展に、より貢献されていくと確信しております4序 文

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