天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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1.基本設計・理念設立趣意書1987(昭和62)年5月8日、財団設立総会が行われ、財団の基本設計と理念を示す設立趣意書が合意された。そして5月13日に主務官庁となる通商産業省(現 経済産業省)に設立趣意書を含む財団設立申請書を提出、5月28日に設立許可を受け、天田金属加工機械技術振興財団(当時)として正式に発足した。財団法人 天田金属加工機械技術振興財団設立趣意書 近年、我が国は物質的にはかなりの豊さを持つようになり、人々の関心も物の量的な確保から質の向上へ、さらには精神的・文化的豊さの追求へと変化しつつあります。 このため、設備機械においても生産技術中心とする、いわばハードな機械技術から、人間性や文化性を加味したソフト重視の技術への転換が求められるようになっております。 また、基礎的なものから地道な努力を強化して、独創的機械技術を創造していくことが重要視されるようになっております。 さて、我が国の機械工業は、数値制御技術等の新しい技術を積極的に取り入れ、それらの実用化技術を推進する、いわゆるメカトロニクス技術を発展させることにより、我が国の産業に多くの貢献を果たしてまいりました。 しかし、技術革新のスピードアップに伴い、従来の金属では考えられなかった高性能金属等の材料が出現しつつあり、これらの材料を有効に活用するためには、塑性加工による高精度加工機械や加工システム技術に関する体系的な研究が積極的に行われることが必須であります。 これからの機械工業に課せられる重要な課題は、真に独創的、革新的な新技術を創出していくことであります。そのためには、実用面の技術だけでなく、基盤となる技術の基礎研究に積極的に取り組み、強化してゆく必要があります。 これらの現状に鑑み、私共は今日まで創造精神の具現化を信念として、機械工業の技術の向上のために微力を尽くしてまいりましたが、今後さらに発展推進するべく、金属等の塑性加工に必要な機械に関する基礎的、応用的な技術並びにその関連技術の研究に関わる助成を通じて、塑性加工機械に関する技術の向上を図り、もって我が国の産業及び経済の健全な発展に寄与することを目的として、本財団を設立するものであります。昭和62年5月8日設立者一同32概 説

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