天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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総括以上から総じて、加工用レーザの用途として次のことが挙げられる。・ドイツ:金属加工に依存した製造業の比率が大き く、金属部材の溶接切断用のレーザ装置の占める割合が大きい。・日 本:電子・半導体・モジュールの微細加工用として、ステッパー用紫外エキシマレーザ装置(日本の世界シェア34%)、半導体アニーリング装置、トリマー、スクライバー、半導体割断などのレーザ加工が相対的に多い。・韓 国:製造業における電気・電子機器の比率は29%と世界でトップであり、半導体関連の微細レーザ加工が急速に伸びている。 レーザプロセッシング技術は、まだ発展段階であり、レーザ加工に対する期待は大きい。産業では、金属、難加工材料、セラミックス、半導体、生体材料などのマクロ加工、マイクロ加工、ナノ加工が求められている。 最近では、熱影響層が極めて小さな極短パルスレーザによる非熱的加工が、エレクトロニクス産業、自動車のパワートレイン加工などに急速に利用されている。 また、近年、ICT(Information and Communi-cation Technology:情報通信技術)の発展は目覚ましく、それを基盤に、IoT(Internet of Things)、 Industrie 4.0などのスマート生産システムの革新が始まろうとしている。レーザプロセッシング技術は、電子機器のレーザ加工装置がPCで電子的に制御しやすいので、急速に生産システムの変革を推進する高いポテンシャルがある。 日本の加工用レーザの生産額の2014年の世界シェアは、エキシマレーザ:34%、CO2レーザ:15%、固体レーザ:7%、ファイバーレーザ:5%、高出力半導体レーザ:2%である。日本の得意技術を活かしたレーザ開発の国家プロジェクトが計画・施行されている。成功には、産官学が同一プラットホームで同一のアウトカムの視点から知恵を出していきたい。謝辞 植田憲一電気通信大学名誉教授、片山聖二大阪大学名誉教授、鷲尾邦彦博士(パラダイムレーザーリサーチ)の諸兄には資料提供を頂き、ここに心から深謝申しあげます。184研究開発と助成の変遷

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