天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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 具体的なレーザの開発目標としては、半導体レーザの開発、QCW(quasi-continuous wave)ファイバーレーザの開発が行われた。 また、加工技術としては、次の(a)~(c)の開発に取り組んだ。(a)ファイバーレーザによる炭素繊維複合材料(CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastics)加工機技術(b)グリーン固体レーザによるシリコンアニール技術(c)レーザによる粉末成型技術 CFRP切断技術では、3㎜厚のCFRPに対して6m/minの切断速度と切断面の高品質加工に取り組み、いずれも目標とした数値を達成している。 レーザアニール技術では高出力グリーン光源と500㎜のビーム幅で照射が可能な光学系を開発してシステム化に取り組み、粉末成型技術ではチタン合金の高精度3D造形に取り組んだ結果、いずれも目標を達成した。技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)設立(2014〈平成26〉年) 2014年度から2018年度にかけて、経済産業省所管による技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)が設立され、研究開発を進めている(2014年度委託費 37.6億円)。 事業の概要として「次世代型産業用3Dプリンタ技術開発及び超精密三次元造形システム技術開発」が設定されており、製造事業者だけでなく、有識者やユーザーなどの意見を聞いて、標準化や市場動向調査などを踏まえて実用化を図る。 各技術の事業化時期の目途は、次のように設定されている。(1)次世代型産業用3Dプリンタ技術開発(金属積層用造形システム) 2015年度までに一次試作機の開発を行い、2018年度までに世界最高水準の造形速度、造形精度を有する次世代型産業用3Dプリンターを完成させ、2019年度末までには装置の販売を開始する。(2)超精密三次元造形システム技術開発(砂型用積層用造形システム) 2015年度にプロトタイプ機を実用化し、2016年度後期からは積層造形速度5万cm3/hの3次元砂型積層造型装置の販売を開始。最終形となる積層造形速度10万cm3/hの3次元砂型積層造型装置は2018年度より販売を開始する。 レーザ技術は、次世代型産業用3Dプリンターに使用されており、レーザビーム方式を使用したシステムの最終目標は次のように設定されている。・積層造形速度:500㏄/h以上・造形物の精度:±20μm以下・最大造形サイズ:1,000㎜ x 1,000㎜ x 600㎜ 以上レーザー学会(日本)の2014年版の論文投稿におけるレーザプロセッシングの技術分野によると、プロセス基礎・モニタリング、熱加工(溶接、切断など)、アブレーション、薄膜形成、表面改質、微粒子(クラスター、ナノチューブなど)、リソグラフィー、3次元造形、アニーリング、ドーピング、合金化、エッチング、クリーニング、光化学プロセッシング、超短パルスプロセッシング、マイクロファブリケーションなどである。これは、アカデミアの研究分野の分類である。なお、特許の分類では、上記とは異なり、最近ではSiC半導体ウェハーのレーザ割断、医療分野・生体材料分野のプロセッシングが発展している。現在のレーザプロセッシング用技術開発の状況COLUMN182研究開発と助成の変遷

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