天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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2010年~現在30~100kWファイバーレーザ[IPG(米)](2013)10kWファイバーレーザ[Raycus Fiber Laser Technologies(中)](2014)(高出力ファイバーレーザの総説:M.Zervas et al., IEEE J of Selected Topics in QE, vol.20, No.5, 09 04123, Sept/Oct.,2014参照)レーザブランキング 本田技研工業、寄居工場で自動車ボディ用鋼板の型抜きに実用化(2015)100kW LD励起Ybファイバーレーザ(IPG(米))(2013)アマダファイバーレーザ切断機 FOL-3015AJ:4kW LD励起Ybファイバーレーザ搭載(EuroBLECH 2010でMM Award受賞)(2010) 極短パルスレーザは、ピーク光強度の高いレーザパルスを提供する。 1964年に開発された縦モード同期技術により1960年代後半には、既にピコ秒(ps=10-12s)の光パルスが発生できている。その後、カーレンズモード同期、チャープパルス増幅、広帯域チタンサファイア(Ti3+:sapphire)レーザ媒質の開発およびパルス圧縮技術の開発で、レーザプロセッシングに適用できる性能の極短パルスレーザ(≦100fs)装置が1991年に市販された。それ以来、高性能の極短パルスレーザが数多く市販されてきた。 このレーザの集光強度は、1012~1014W/cm2になり、1光子(線形吸収)のみならず、2光子、3光子吸収過程を用いた透明材料の非線形プロセッシングとその内部微細加工ができる。これは、材料の吸収帯の共鳴波長の2倍、3倍長い波長のレーザでも照射強度を極めて高くすると、量子力学的に吸収過程を誘起するものである。この過程では、(近)共鳴過程である必要はないので多くの透明材料が加工できる。加えて、極短パルス照射由来の非熱的プロセッシングが応用できた。非熱的プロセッシング(non-thermal processing)とは、極短パルスレーザ照射で直接に光励起された高エネルギー電子系から格子系へのエネルギー移動の特性(緩和)時間より短いレーザパルスとの相互作用なので、熱影響層(HAZ: Heat Aected Zone)がほとんどない精密微細加工が達成できる。実際、半導体デバイスの微細加工、フラットパネルディスプレイの微細加工、材料表面微細加工、心臓の冠動脈用ステント加工などの分野で活躍している。レーザプロセッシング用極短パルスレーザ開発の歴史COLUMNレーザプロセッシング用極短パルスレーザ(国内)2010年~20W(50kHz、3,000fs、800fs、λ=1,030nm)(Cyber Laser(日))レーザプロセッシング用極短パルスレーザ(海外)2005年~2009年3.5W(1~3kHz、3.5mJ/pulse、130fs、λ=790nm)(Quantronix(米))(2005)50~100W(400kHz~1MHz、250μJ/pulse@400kHz~100μJ/pulse@1MHz、λ=1,064nm)(Lumera-Coherent(独))(2007)2010年~50~100W(400kHz、10,000fs~900fs、λ=1,064nm)(TRUMPF(独))400W(1.4MHz、200fs、λ=1,030nm)(AMPHOS(独))179

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