天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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(11)接合技術の変遷▶1950(昭和25)年以前~1989(平成元)年 [接合技術の変遷]年代項目1950年以前1950年~接合技術の傾向各接合技術(特徴、例)変形接合機械的接合(かしめ、リベット)締結(ボルト)溶接、その他抵抗溶接(スポット、シーム、電縫)アーク溶接法(被覆、サブマージ、TIG、MIG)ろう接(はんだ付、ろう付)接着電子ビーム溶接▶接合技術の変遷1. 概要有史以前から使用されている「はんだ付」は、20世紀中ごろにコンピュータや電子機器内のLSIなどの実装に中心的役割を果たすようになり、回路の高集積化・高密度化に伴い、現代では表面実装に欠かせない技術となっている。 「ろう付」も古来の技術であるが、現在では液相拡散接合による超耐熱合金の接合技術として期待されジェットエンジンの製造に不可欠の技術となって いる。自動車産業においては、溶接機の90%以上がスポット溶接機である。冶具に固定されていない薄板を3次元空間内で一瞬にして接合する代替技術はスポット溶接以外、今のところ見当たらない。このように接合技術は車両、航空機、パイプライン、エレクトロニクス機器など、ほとんどの工業製品の製造に適用され、素材や対象物、製品に応じて、多種多様化しており、生産技術において高効率、高性能、安全性を支配するキーテクノロジーとなっている。接合技術は、大きく分けて「直接接合方式」と「間接接合方式」の2種類に分類できる。直接接合の代表的な技術としては「局部溶着、変形流動結合、弾性結合、構造締結」、間接接合では「溶接助材、ろう付け、要素締結、接着剤」などが挙げられる。例えば、材料の弾・塑性変形を利用した「変形流動結合」は弾性変形の利用(焼きばめ)、塑性変形構造締結(ヘミング、バーリング、かしめ、リベット、継ぎ手)、塑性変形流動接合(圧延クラッド、鍛接、シェービング、摩擦圧接など)など多種多様である。その中でも塑性加工技術を用いる方法は低コストで、高付加価値、かつ解体も容易なため、今後も大いに期待されている。最近の新しい動きとしては「異種材接合(異素材接合)」がある。代表的な材質として金属-金属、あるいは金属-樹脂、金属-セラミックスなどが挙げられる。特に日本における接合技術の進歩は、産官学において各現象の科学的解明が進められ、生産技術・旧来の接合技術の継続も含む溶接に高エネルギー密度ビームの利用166研究開発と助成の変遷

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