天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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COLUMN1990年~2000年~現在タレットパンチの出現ホットプレス打抜き難せん断加工材料(ハイテン材、アモルファス合金、CFRP材など)の打抜き噴射オリフィス孔の打抜き板鍛造への適用FEMによる破壊(クラック)発生を考慮した解析せん断加工をはじめとするプレス加工技術が社会に与えた大きな影響の1つとして、20世紀初頭の米国における自動車産業への適用が挙げられる。19世紀末、欧州においては近代的なガソリンエンジン駆動の自動車が発明されていたが、米国においては広大な国土を縦横に移動する手段として、また従来の馬車に変わる乗り物として大きな需要があり、その需要に応えて大衆に普及させるためには製造コストを著しく下げる必要があった。歴史的に知られるT型フォードは、1908年の発売開始以来、生産終了までに1,500万台以上が生産されたが、普及した大きな理由の1つは低価格にあった。それまで、多くの自動車が2,000ドル以上していた 時代に850ドルという価格で発売され、初年度に10,000台以上が製造されたと記録されている。製造台数の増加に伴い、有名なベルトコンベヤー式の製造ラインの確立や労働者の単工程反復労働を含む作業原理の革新などとともに、製造技術としてプレスによる鍛造工程の適用と内製化や鋳造工程の効率化などによりT型フォードの価格はさらに下がり、1924年には295ドルで発売されるに至った。T型フォードの普及により米国の移動手段は大きな変革を遂げ、現在に至るモータリゼーションの基盤になったといっても過言ではない。その後、現在に至るまでせん断/プレス加工技術は多様な発展を遂げ、コスト低減の目的以外にも自動車製造に欠かせない技術となっている。コスト面から見た場合、大型プレス機械を使用せずに手作業により自動車を生産した場合、1台の販売価格は数十倍になるといわれるほど、その効果は大きい。せん断加工技術と自動車製造専用プレス機械による高精度多品種中・少量生産/環境問題/グローバル化自動車部品/電子機器部品メカ/油圧サーボプレスパワーカード打抜き用金型165

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