天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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年代項目1950年以前1950年~課題技術主要製品プレス機械金型備考戦後、金型を使用したプレス打抜きにより機械加工と同程度の精度の時計部品を製作することに成功せん断機構の解明(10)せん断加工技術の変遷▶1950(昭和25)年以前~1979(昭和54)年 [せん断加工技術の変遷]▶せん断加工技術の変遷1. 概要せん断による切断加工は「除去切断」と「破壊切断」の2種類に大別できる(表1を参照)。本項目では、主に破壊切断を取り上げる。表1 切断加工の分類切断加工除去切断切削加工、ウォータージェット、溶断、科学的除去など破壊切断力学的作用により材料を分離・破断する方法(せん断、曲げ、引っ張りなど)破壊切断は、材料に大きな力を加えて破壊分離する切断法であり、切りくずを出さない特長が挙げられる。破壊切断の種類の中でも「せん断破壊切断」は、他の「曲げ破壊」や「引張破壊」と比較して、切断面形状を正確に制御することが可能である。塑性加工の中でも比較的新しい分野であるせん断加工は、近代では19世紀末、米国において時計部品の製造技術として、ユニセット・金型方式によるせん断破壊切断から始まった。同技術によって製造された時計部品は、部品相互間の互換性に優れるため大量生産が可能になった。その結果、完成品である時計の価格を引き下げ、米国市場において機械加工方式によるスイス機械時計からシェアを大きく奪う結果となった。その後、競合相手のスイスにもせん断加工による時計部品の製造方法が伝わり、1922年Shiessにより発明されたファインブランキング(FB)の精密せん断技術へと発展を遂げ、これが世界中に広まることとなった。1950年代には、機械加工と同程度の精度を持つ時計部品のプレス打抜きに成功し、汎用プレス機械による量産の時代が始まった。2. 1950~1960年代日本におけるせん断加工のれい明期であり、小物部品の大量生産要求や時計部品・事務機器部品の量産指向が高まり、プレス機械も電気モーターから油圧汎用プレス機械へと移行した。また、当時それまで切削加工によって生産されていた時計歯車がプレス打抜きによって生産し得る ことが実証され、プレス金型技術も大きな発展を遂汎用プレス機械による量産技術時計部品/事務機器部品電気モーターが動力源のメカプレス/油圧プレス時計歯車打抜き用プレス金型162研究開発と助成の変遷

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