天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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COLUMN長大吊橋を支える橋梁用鋼線明石海峡大橋wikimedia Commonsより―明石海峡大橋.JPG,by おぉたむすねィく探検隊 04:47,11 April 2007(UTC) License=CC BY-SA 2.5鋼線1990年~2000年~現在ロール伸線機ノンスリップ型湿式伸線機振動酸洗過共析鋼の伸線伸線速度1,000m/min.(2mmΦ)橋梁用亜鉛めっき線ショットブラスト脱スケール法ソーワイヤメッシュ用極細線※ 明石海峡大橋のメーンケーブルに従来の引張強さ1,570Mpa級の鋼線を使用した場合、ストランド本数やケーブル質量の増加などにより、倍の4本のメーンケーブルが必要と試算されている。世界に数多くある橋の中でも、その優美な姿で人々の注目を浴びることが多い吊り橋は、海や河川で隔てられた場所に建設されることが多いことから、高い強度や耐久性を要求されることが多い。現在、世界一のスパン長を持つ長大吊橋は、1998年に建設された日本の本州と淡路島を結ぶ明石海峡大橋である。 メーンケーブルには、引張強さ約1,770MPaの直径5.23mm高強度亜鉛めっき炭素鋼線が36,830本使用され、鋼線127本を1つにまとめたストランドをさらに290本束ねた構造により、左右の2本のメーンケーブルで約6万トンの構造物を吊り下げることができた※。 明石海峡大橋に使用された鋼線の強度向上には、成分の炭素(C)含有率を1%近くまで増加させたことが寄与しているが、現在ではさらにシリコン(Si)、マンガン(Mn)の含有量の適正な調整などにより引張強さが増した橋梁用高強度鋼線が開発されており、今後建設される長大吊橋などへの使用が期待されている。4.0GPa4.5GPa3.6GPa有限要素法ダイス工具の弾性解析熱連成解析153

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