天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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▶1975(昭和50)年~現在 [引抜き技術の変遷]年代項目1975年~1980年~引抜きマルチ伸線→自動化直接冷却伸線カセットローラーダイス圧着ローラー鋼線の事例等温パススケジュール スチールコード1~2tコイル化弁バネ引抜き理論ダイス内温度分布ト工具などの研究開発が期待される。 ピアノ線はφ5mmでは引張強さ1,800MPaがほぼ限界であるが、φ0.2mmでは4,000MPaまで強化可能である。この原因は、工具と材料のマクロ的な寸法比率が同じでも、材料の結晶の大きさや集合組織、結晶方位は比例せず、特異な塑性変形挙動と材料特性を示す点にある。計測技術の進歩と「結晶塑性学」のシミュレーションにより、「寸法効果」の解明がさらなる延性・強度の向上に貢献できると期待される。 圧延素材の0.01~0.03mm深さの「きず」が冷間鍛造材やばね材など自動車用重要部品の製造過程で最大の難題である。引抜き中に、この「きず」の深さを軽減または無害化する特殊ダイス形状が望ま れる。 圧延技術の進歩により、引抜き工程の省力化が 一層進む。さらにローラーダイスの超小型化が実現できれば、0.3mm以下の難加工材や潤滑の難しい特殊金属細線への適用が期待できる。 インライン中で「きず」計測するのみならず、残留応力や曲がりの計測とその制御が可能となれば、大幅な生産性向上を達成し得る。 以上の実現には、引抜きメーカーのみならず機械、潤滑、工具メーカー、大学や研究機関との緊密な連携が必須である。天田財団がこれまで研究助成を行ってきた 研究テーマのうち、引抜き技術分野に該当する研究は12件である。ダイレス伸線が最多で、超音波伸線、超弾性材伸線、超音波利用など 特殊引抜き分野が多い。引抜きの基礎なども 数件ある。引抜き技術分野への研究助成スチールコード2.7GPa3.1GPa3.3GPa152研究開発と助成の変遷

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