天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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COLUMN2000年~現在ステムスライド式ショートストローク押出し機可変断面押出しの開発等温等速押出し技術形材急速急冷精密押出し湾曲押出しの研究ねじり押出しの研究SKD61を改良した熱間工具鋼がダイスなどに適用サブフレームにアルミ押出し材の利用六角柱サイドインパクトフレームにアルミ押出し材の利用現在、最新の新幹線N700系の車両構体にはアルミ合金の押出し形材が適用されており、新幹線車両の軽量化に貢献している。 初代新幹線(0系)の車両構体は鋼鉄製で、骨組・台枠などの構造部材により車体強度を負担し、車両外板は強度部材として考慮しない構造となっていたため、1両あたりの構体質量は10.5トン(公称)であった。 新幹線車両に初めてアルミ合金が適用されたのは、1982年に開業した東北・上越新幹線に使用された200系車両であり、雪対策による質量増加を軽減することが主な目的であったが、1両あたりの構体質量を7.5トンまで軽減することに成功した。ただし、従来の構体の鉄鋼材料を一部、アルミ合金に置き換える適用であり、アルミ合金の特性を生かした車体構造とは必ずしもいえない状況であった。アルミ合金の押出し形材が採用されたのは、1992年に東海道・山陽新幹線において営業運転が開始された300系新幹線車両からとなる。当時の諸元によると、構体質量を約7トンまで軽量化するとともに、「のぞみ」として時速270kmの走行を可能とした高速走行性能も達成している。現在のN700系(N700A含む)の構造における特徴の1つとして、縦通材を構成する屋根および側外板構造として車両全長にわたって適用された中空押出し形材によるダブルスキン構体が挙げられる。この構造により、車内の遮音性が高くなるほか、生産時の製作性も向上するなどの利点が得られた。構体質量は300系とほぼ同等とされているが、東海道新幹線区間における時速285kmの走行を可能とした車体傾斜システムなど、快適性と高性能を両立した車体といえる。 さらに現在、平成30年の営業運転を予定しているN700Sの開発も進んでおり、リニアモーターカーによる中央新幹線も含め、今後も様々な開発への取り組みは続いていく。新幹線へのアルミ合金押出し形材の適用149

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