天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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1980年~テーラードブランク~アモルファス合金板のせん断トランスファープレス青木(1980~)永井(1981~)Barlat(1989、2003、2007)Chaboche(1983、1989、1991)呉屋・伊藤モデル(1988)後藤(1984)国際会議(NUMI-SHEETなど)で実部品シミュレーション発表(1985~)る。バウシンガー効果がスプリングバックに強く影響を与えることが広く認識されるようになってきたのは2000年代に入ってからである。とくに自動車産業を中心に需要が増えていた高張力鋼板ではその影響が顕著であり、スプリングバックの高精度予測のためにはバウシンガー効果を適切に表現できる材料モデルが不可欠となっていた。この頃に発表されたYoshida-Uemori移動硬化モデル(2002)は、バウシンガー効果および繰返し加工硬化、さらに応力反転直後に現れる硬化の一時休止現象が高精度に記述でき、また任意の異方性降伏関数と組み合わせて使用することができる。このモデルはスプリングバックの高精度予測に有用なことから、国内外の主要な板材成形シミュレーションソフトに採用され、産業界で広く使われている。さらに成形時の金型のたわみを考慮した研究も報告されている。板材成形技術:インクリメンタルフォーミングは、1990年代の早い時期に日本の松原らによって開発され、ヨーロッパで発展した。ダイレスで多品種少量生産を可能とする優れた技術である。対向液圧成形は、1950年代後半に春日らにより研究・開発された圧力潤滑深絞り法に端を発した。しかし欧州で実用化された後、日本においても1990年代より自動車産業において実用が開始された。液圧により板材と工具の接触部の摩擦保持効果を高め、フランジ部においては流体潤滑状態の摩擦低減効果が得られることから、成形性の飛躍的向上が期待できる技術である。温間絞り成形は、1960年に戸澤らによって基本的アイデアが提唱された。成形荷重を支配するフランジ部を温めることによって変形抵抗を下げ、パンチ部は積極的に冷却することによって、絞り性を上げる技術である。近年では軽合金板やステンレス板に適用されている。板鍛造技術は、1990年代後半に中野らにより開発され、板材をプレス成形するとともに鍛造して板材の肉厚変化も狙う技術である。小物部品の製造技術として今後の発展が期待されている。ホットスタンプ技術は、1970年代中頃にスウェーデンにおいて初めて自動車車体に適用され、その後欧州を中心に発達し、1990年代前半よりドイツの自高張力鋼板:340BH143

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