天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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▶1990(平成2)年〜現在まで[圧延技術の変遷]制御に大きな効果を上げた。1970年代以降の2度にわたるオイルショックの影響からコストダウンを目的とした連続鋳造化が飛躍的に増加し、あわせて幅変更技術の発達や竪ロールによる幅大圧下圧延、および幅サイジングプレスの独自開発による連続鋳造スラブの幅集約が拡大した。また、熱延の分野においては、多品種少量対応を目的としたスケジュールフリー化が推進された。1980年代後半のバブル景気は技術者の大幅採用増につながったが、鉄鋼産業の頭打ちにより、研究・人員は新素材や半導体、およびIT機器開発に集中したため、既存の圧延技術の研究者は大幅に減ることとなった。この時代、米国への圧延技術の輸出・技術指導も行われ、研究者・技術者はさらに多忙を極めることとなった。 同じく1980年代後半の厚板の分野においては、直接焼き入れ-焼き戻し(DQ-T)プロセスの実用化、および制御圧延と加速冷却を組み合わせたTMCP(Thermo Mechanical Controlled Process)のラインパイプ用厚板などへの実用化により、世界的優位が確立されることとなった。形・棒線・管圧延:〈形鋼〉 これまで建築業界から切望されていた外法一定H形鋼をスキューロール圧延で実現し、高寸法精度圧延法など独自技術も発展した。〈棒線〉 コンパクトミル・ハウジングレススタンドなどが出現した。自動車用鍛造用素材の寸法精度向上のニーズが高まり、精密圧延技術が開花した。2方ロールてきすんミル・3方ロール・4方ロールなどが相次いで開発あるいは導入され、寸法精度向上とチャンスフリー・サイズフリー圧延に発展した。制御圧延・制御冷却・調整冷却各技術も独自技術を含めて各種方式が実用化された。5. 1990年代板圧延: 1990年代後半、厚板の加速冷却プロセス(核沸騰冷却)のSuper-OLACが実現し、研究は巨額な経費を要するハード開発からソフトや製品開発の方向へ傾斜することとなった。圧延理論においては、3次元剛塑性有限要素法が実用化レベルに達し、局部変形が主体であるエッジ年代項目1990年〜厚板圧延形状制御用新型圧延機(WRシフト、PC)高性能レベラー薄板圧延熱延ストリップキャスターエンドレス熱間圧延冷延世界最速冷間圧延条鋼圧延(形、棒、線)継目無鋼管3・4ロールマンドレルミル・ストレッチ レデューサーの変形制御マンネスマン高交叉角穿孔機ロール・潤滑冷延ロール圧延理論FEMの適用拡大材質予測の高度化130研究開発と助成の変遷

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