天田財団30年史「人を育て、知を拓き、未来を創る ~天田財団30年の軌跡~」
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1950年~1960年~Hill(1950)Drucker(1951)Koiter(1953)Prager(1955)Ziegler(1959)Sachs(1958)~Hill(1950)Prager-Hodge(1951)~Hill(1950)Johnson(1950s)Kudo(1960)Kobayashi(1964)Bishop-Hill(1951)KBW model(1962)きではない。)ヒルはその後、降伏関数に異方性を導入した「異方性降伏関数」を提案、現実的な材料の取り扱いの基礎を築き、その系譜は今日まで続いているが、惜しまれながら2011年に逝去した。降伏関数を塑性ポテンシャルとする「塑性ひずみ増分の降伏曲面への法線則」はヒルの教科書に記述されているが、ドラッカー(Drucker、米)は安定した塑性体の硬化条件についての重要な仮説を提案し、その帰結として降伏曲面の凸面性を示した。これらによりマクロ的塑性理論の枠組みはほぼ完成したといえる。4. 1950~1980年代 1950年代以降は、1950年以前に発表、確立された塑性力学を背景として、これらの成果を実際の塑性加工に役立てる「計算塑性力学」へと進展した。応用面では、数学的な非線形性を避けて通ることはできないが、幸いにも計算機性能の飛躍的向上に伴い、計算塑性力学は大きな発展を続けることができた。 シミュレーションに使われる数値解析法には、「有限要素法」、「差分法」、「境界要素法」などがあるが、塑性加工の分野では有限要素法が主流となっている。これは、1956年にボーイング社において飛行機の強度計算の数値解析法として開発され、1960年代に弾塑性微小塑性変形へと拡張された。1970年代にはそれまでの微小塑性変形から大変形理論に発展した。 1960年代に上界法を汎用化させた剛塑性有限要素法の定式化が提示された。この剛塑性有限要素法は、1960年に工藤(Kudo、日)、1968年にアヴィッツ(Avitzur、イスラエル)らの上界法を基礎としたため、塑性加工の研究者には受け入れられやすい土壌があったといえる。体積一定条件の方法にはラグランジュ乗数法、ペ121

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